Microsoft Sentinel、Splunk、Google Security Operations、ヤグラAI SIEMを公式情報で比較。課金単位、保存・検索、追加費用、運用代行との違いを、見積り表と計算例で整理します。

SIEMの費用を比べるときは、月額料金だけでなく、同じログを、同じ期間、同じ運用範囲で扱えるかをそろえる必要があります。ログの取り込み量で課金する製品もあれば、検索・分析に使う計算資源や選択する機能によって費用が変わる製品もあります。
この記事では、代表的な3製品とヤグラAI SIEMについて、公開情報から確認できる違いと、見積りで確認する項目を整理します。価格の安い順のランキングではありません。具体的な金額が公開されていない場合は推定せず、確認が必要な項目として扱います。SIEMの基本機能から確認する方は、SIEMとは?仕組み・機能・費用と選び方をご覧ください。
公式資料の確認日:2026年9月17日。プラン・仕様・契約条件は変更されるため、発注時には最新の見積書で確認してください。本記事はヤグラが提供しています。
SIEM比較の前にそろえる5つの条件
最初に、自社で必要な条件を1枚にまとめます。製品の比較表は、その条件を満たす候補を絞るために使います。
条件 | そろえる内容 |
|---|---|
収集するログ | EDR、認証基盤、クラウド、ファイアウォールなどの製品名、取得する項目、対象台数 |
取り込み量 | 通常日のGB/日と繁忙日・障害時の最大量。送信前と課金対象の量が同じか |
保存と検索 | すぐ検索する期間、復元して調べる期間、検索頻度、過去ログを取得するまでの許容時間 |
検知と対応 | 検知したい事象、調査する範囲、通知先、隔離・停止の実行者と承認者 |
運用と契約 | 自社担当者の作業、外注する作業、夜間休日の連絡、契約期間、解約時のデータ取得 |
例えば「1年間保管できる」だけでは、1年前のログをすぐ検索できるのか、復元に時間や費用がかかるのかは分かりません。必要な検索方法まで含めて比べます。
代表的なSIEMの提供形態・課金・保管を比較
以下は公式資料で確認できた事項です。「要確認」は非対応を意味しません。構成、地域、契約、追加機能によって回答が変わるため、見積り時に確認する項目です。
製品 | 提供形態・課金の考え方 | 保存・追加費用で見る項目 | 比較時に確認すること |
|---|---|---|---|
Microsoft Sentinel | クラウドのSIEM。分析層は従量課金とコミットメントの選択肢がある | 分析層と長期保管向けデータレイク層を分ける。併用するAzureサービスはそれぞれの料金が適用される | どのログをどの層に入れるか、日次容量の予約が適するか、検索・自動対応を含む総額 |
Splunk Enterprise Security | クラウドと自己管理・オンプレミスの選択肢。公式料金ページはactivity-based、workload、ingestの方式を案内 | Splunk Cloud Platformでは検索用保管と復元して検索するアーカイブを分ける。追加容量や外部保管先の費用を確認 | 提供形態・Edition・課金方式を確定し、検索負荷、保管量、SOAR等の機能を同じ範囲で見積もる |
Google Security Operations | SIEM・SOAR等を統合するクラウドサービス。取り込み量とパッケージに基づき、価格は問い合わせ | 公式案内では1年のセキュリティデータ保持を含む。パッケージごとに機能と上限が異なる | 必要な検知・調査・AI機能がどのパッケージに含まれるか。1年を超える保持や外部連携の条件 |
ヤグラAI SIEM | ログの一元化・分析を提供。提供構成・契約単位は個別確認 | 公開製品ページには具体的な課金単位・単価・保存期間の記載がないため、個別確認 | 対象製品の接続方法、必要ログ、保存・検索条件、人が担う作業を整理して相談 |
出典:Microsoft Sentinel公式料金、Splunk公式料金、Splunk Cloud Platformのサービス詳細、Google Security Operations公式案内、ヤグラAI SIEM。いずれも2026年9月17日確認。
Microsoft Sentinel:データの用途と課金する層を分ける
Sentinelの公式料金ページでは、分析・アラート・検索に使う分析層と、調査や長期保管に使うデータレイク層が説明されています。分析層には従量課金と、日次取り込み容量を予約するコミットメントがあります。
Azure環境を含むログを集め、監視に使うデータと長期保管するデータを分けて設計したい場合に比較候補になります。ただし、Microsoft製品のログならすべて無料という意味ではありません。対象ログ、契約上の特典、Azure Log AnalyticsやLogic Appsなど関連サービスの料金まで確認します。公式料金・FAQ
Splunk:取り込み量に加えて、検索負荷とEditionを見る
Splunkはクラウドと自己管理の選択肢があり、公開料金ページでは複数の課金方式が案内されています。取り込み量を基準にするingest方式と、計算資源に基づくworkload方式では、同じ日次ログ量でも見積りに必要な情報が異なります。希望する方式が対象構成で選べるかを確認してください。料金方式の公式説明
既存のSplunk環境を活かす場合や、配置先・検索方法を細かく設計したい場合に検討しやすい候補です。Enterprise SecurityのEditionによって含まれる機能も変わるため、SIEM、SOAR、分析機能をどこまで必要とするかを確定させます。公式料金・Edition比較
保管も別に確認します。Splunk Cloud Platformの検索用ストレージと、復元して検索する長期アーカイブは同じ使い方ではありません。外部のストレージに書き出す構成では、その保管先の利用料も必要です。保管・復元の公式説明
Google Security Operations:保持期間とパッケージの範囲を照合する
Google Security Operationsは、取り込み量に基づくパッケージ制として案内され、1年間のセキュリティデータ保持を含みます。検知・調査・対応に必要な機能をまとめて検討したい場合の候補ですが、パッケージ間で利用できる機能や上限は異なります。必要なAI機能、検知ルール、連携機能を列挙し、対応するパッケージの見積りを取ります。公式機能・パッケージ説明
特定のデータを取り込み枠の対象外とする特典には、契約時期、対象パッケージ、契約金額などの条件があります。すべての契約に適用される前提で計算しないようにします。Data Benefit Programの公式条件
ヤグラAI SIEM:必要なログと担当者に残る作業から確認する
ヤグラAI SIEMは、複数製品のログを集約して調査し、日次レポートで状況把握を支援するサービスです。ログの接続方法、調査対象、保存期間、料金は、自社環境に合わせて確認してください。公開されていない単価や保存条件を前提に、他社より安い・長く保存できると判断することはできません。ヤグラAI SIEMのサービス説明
すでにSIEMがあり、課題がアラートの調査負荷にある場合は、SIEMの入れ替えと、既存環境にAI SOCを組み合わせる方法を分けて比較します。
SIEM費用は「初期費+継続費+人の作業」で見積もる
初年度の比較では、次の式を出発点にします。
初年度の総費用=初期構築・移行費+年間の製品利用料+保管・検索・転送等の費用+外注運用費+社内作業の費用
月額契約なら年間利用料の目安は月額×12ですが、年額契約、最低利用額、容量予約、超過料金がある場合は契約に合わせて計算します。すでに利用料に含まれる保存費や機能を、別項目で二重計上しないことも重要です。
同じ条件で記入する見積り比較表
空欄は見積りの回答で埋めます。「含む」「別料金」「非対応」「未確認」を分け、回答がない項目を0円にしないでください。
比較項目 | 共通条件・確認事項 | 候補A | 候補B |
|---|---|---|---|
製品・Edition・構成 | 提供形態、契約地域、対象機能 | ||
対象ログと日次量 | 製品別の通常量・最大量、課金対象の定義 | ||
保存と検索 | 即時検索期間、復元が必要な期間、復元所要時間 | ||
初期費用 | 接続、形式調整、初期ルール、通知、移行、教育 | ||
利用料 | 課金単位、最低額、容量予約、契約期間 | ||
追加費用 | 保存延長、復元、検索、転送、追加機能 | ||
増量時の費用 | 通常時と増量時の両方で見積り | ||
外注運用 | 監視時間、調査件数、通知、対処、ルール調整 | ||
社内作業 | 週/月の確認時間、承認、復旧、連携保守 | ||
終了・移行 | データ出力、設定移行、解約後の保管・削除 | ||
総費用と有効期限 | 初年度・次年度、税、通貨、見積有効期限 |
数量だけを計算する例:100GB/日のログを30日取り込む
以下は計算方法を示す架空の条件で、製品料金やヤグラの顧客事例ではありません。
項目 | 数量の計算 | 適用単価 |
|---|---|---|
通常月の取り込み量 | 100GB/日×30日=3,000GB | |
5日間だけ150GB/日に増えた月 | 100GB×25日+150GB×5日=3,250GB | |
通常月との差 | 3,250GB−3,000GB=250GB |
ここで求めた3,000GBは取り込み量の合計です。そのまま課金対象の量やストレージの使用量になるとは限りません。除外対象、圧縮、正規化、保存形式、保持日数、容量予約などで扱いが変わるため、各社にこの数量条件を渡して計算方法を確認します。
例えば保存期間を延ばす場合も、単純に取り込み費用を月数倍して保管費用とするのは適切ではありません。継続的に増える保管量と、契約に含まれる容量・保持期間を照合します。
見積書の単価を入れて、金額へ換算する
数量の条件を渡したら、課金対象になる量と単価を見積書で確認します。単純な従量課金で、無料枠・容量予約・最低利用額などがない場合は「課金対象GB × 円/GB」で取り込み費用を計算できます。例えば課金対象が3,000GB、単価を見積書のP円/GBとすると、取り込み費用は3,000×P円です。ここでPは入力する変数であり、製品の実売価格ではありません。
予約容量がある契約では、予約分の固定料金と超過分を分けます。保存、検索、復元、転送の費用は、それぞれの課金単位で別に計算し、利用料に含まれるものは二重に足しません。社内の調査作業は「月間作業時間 × 社内で定める時間単価」で整理すると、製品利用料だけの比較を避けられます。
通常月と増量月の条件を各候補へ同じように提示し、初年度と次年度の総額を確認してください。通貨、税、契約期間、見積有効期限もそろえます。回答がない欄は未確認として残し、0円や追加費用なしとは扱いません。
SIEM運用代行とAIによる自動調査は、契約する内容が違う
SIEMはログを集めて検知・調査する基盤です。運用代行は、その基盤を使う作業の一部を人やサービスに委ねる契約です。一方、AIによる自動調査は、関連情報の収集、判定の支援、報告などをソフトウェアで処理する機能です。
選択肢 | 確認すべき責任・範囲 |
|---|---|
SIEMを自社運用 | 誰がアラートを確認し、重大事象を判断し、夜間休日に対応するか |
SIEMの運用代行 | 監視・調査・通知・ルール調整・対処のどこまでが契約に含まれるか |
AIによる自動調査 | 参照できるログ、判定根拠、情報不足時の引き継ぎ、人が承認する操作 |
組み合わせる運用 | AI、委託先、自社の間で誰が次の作業を引き受けるか |
「24時間監視」と「24時間、人が封じ込めまで実行する」は別の条件です。また、AIが調査レポートを作れることだけで、端末の隔離やアカウント停止まで契約に含まれるとは判断できません。サービス比較では、通知、調査完了、対処完了を分けて確認します。AI SOCの仕組みと従来型SOCとの違い
最後は同じログとシナリオでPoCを行う
候補を絞ったら、自社のログを使って、本導入前の検証であるPoCを行います。例えば、不審なサインイン、権限変更、クラウドストレージからの大量取得という一連の操作を、同じ条件で調べられるか確認します。正規の管理作業や、一部のログが欠けた場合も試します。
必要なログ項目が取得でき、取得停止にも気づけるか。
アラートから元ログ、対象ユーザー、時系列へたどれるか。
誤検知、根拠不足、追加調査が必要なケースを区別できるか。
担当者が判定するまでに何分かかり、どの作業が残るか。
隔離・停止などの操作に必要な承認と記録を管理できるか。
検証時の取り込み量・保存量・検索の使い方を、見積り条件に反映できるか。
AIによる調査も比較する場合は、AI SOCの比較・選び方とPoCチェックリストを使い、調査結果だけでなく、人の確認時間や失敗時の対応まで記録してください。
SIEMの比較・費用に関するよくある質問
SIEMの費用相場はいくらですか?
ログ量、保存・検索条件、必要機能、導入作業、運用体制で変わるため、一律の月額だけでは判断できません。同じ条件で、初期費と継続費、人が行う作業を含めた見積りを取ります。
クラウドSIEMなら運用担当者は不要ですか?
基盤の管理と、アラートの判断・対処は分けて考えます。クラウドサービスでも、取得対象の選択、検知ルールの確認、重大事象への対応、業務影響の判断を誰が担うか決める必要があります。
既存SIEMをAI SOCで置き換えられますか?
AI SOCが利用するログやアラートの供給元は必要です。既存SIEMを残して調査を支援する構成もあります。名称だけで置き換えを判断せず、収集・保存・検知・調査・対処の各機能を誰が担うか確認します。
最初の相談に何を用意すればよいですか?
利用中の製品一覧、通常日と最大時のログ量、必要な保存期間、調べたい事象、現在の担当者と夜間休日の体制を整理してください。詳細が不明な項目は、測定や確認が必要なものとして分けます。
ヤグラでは、AI SIEMによるログの一元化・分析と、AI SOCによるアラート調査の支援を案内しています。導入相談では、自社のログと運用に合わせて必要な構成をご確認ください。
SIEM見積り比較表をダウンロード(CSV・登録不要)。見積りの条件、回答の根拠・確認日・担当者・未確認事項を記録できます。各社の実売価格を収録した資料ではありません。



